「おおあめCD」

待ち合わせ直前の大雨で
必死に探してくれたCDはブックレットが浸ってしまって
君は僕の顔を見て泣いた
もう雨は止んだのに

ねえ いつか貯金がいっぱいになったら
このCD10枚は平気で買えると思うんだ
でも雨に濡れたのは世界にこれだけ
そのうちにインクも滲んでオリジナルになるよ

CDはデジタルで本当によかった
だから大丈夫だよ

雑貨屋を廻っているうちに
店内の空調でブックレットはペリペリになった
僕が舌を出して戯けると
君は困った顔で笑った

そうだ 今日たまたまね
CDプレイヤー持ってきていたんだよ
そういって取り出すと大雨でだめになってた
君は驚いてたけどほんの少しだけ笑った

僕はまあまあ落ち込んで
これでおあいこだねと苦笑いで言った

試しにやってみようって君が言った
イヤホンを鏡みたいに片耳ずつ付けて再生
CDがカラカラと音を立てて廻る
なんにもきこえない

なんにもって言った瞬間
ずっと聴きたかったあのフレーズが一瞬だけ流れた
その一瞬僕らは息を止めて
その後でずっと笑った
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by yasuharakenta | 2013-08-08 22:15 | 詩、歌詞