「複楕円」

行きつけの本屋を出て帰路につくと
少し年上の男女とすれ違いになった
この辺はあんまり来ないねと女性が言って
そうだねと男性が言った
そしてちょっとした発見があった

僕と彼女と彼は違っている
ついでに彼女と彼も異なっている
人々の行動の楕円は少しずつずれていて
そうして街はできていくのだと思った
国もそうかもしれないなあ

僕と彼女と彼の楕円の重ならないところには
おんなじ本やフードが売られていて
しかしあの本屋の照明がいつまでも新しくならないことを
きっとあの男女は知らない
店員の少し愛想のない態度も

ああ

僕はかなり大切なことに気がついたのだと思う
僕はかなり重要なところに触れている気がする
彼女と彼は今日何を越えていったんだろう
僕は家に入る前に自転車の汚れを確認して
頭の中で自分の楕円を描いていた



[PR]
by yasuharakenta | 2014-04-13 21:10 | 詩、歌詞