「apple」

アップルって聞いただけで
赤色を思い浮かべるのってすごいよねって
あなたがあの時言ったから
私はアップルって聞いただけで
あなたのその言葉を思い浮かべるようになりました

今はアップルコンピュータのおかげで
アップルから連想されるのは
シルバーだったりカラフルだったりに変化していって
なのにあなたの言葉だけが
私の手元にいつまでも残りました

もう1年、まだ2年
そう思っているうちに年月は片手の範疇を超えて
いつかあれから何年が経ったのか
正確にはすぐに思い出せなくなりました
それは悲しみであって喜びでもあります

私はずっとすごくなれると思っていました
その漠然とした言葉も本当は明確だったような気がします
しかし進めば進むほど進路には靄がかかって
日々が着実ではなくなっていったような感覚がありました
足音が存在しないふりをしていたようでした

後ろを向くとそれはひどく透明で
どうしても思い出せずにはいられません
それでも私は進みました
雲の中のような道を黙々と進みます
小さい頃、あれだけ雲に乗ってみたかったのに

喜びといったのは嘘でしょう
あの地点から距離を経た実感がひとつもありません
悲しみは靄に紛れてほとんど分からなくなっていますが
おそらくそこら中に散布していて
つまり私はすごくなっていないと思います

どうせいつか死ぬのに
どれほどの未練をそのままで持っていくのでしょう
私は何にがんじがらめになっているのでしょう
人と人とを繋ぐ強靭な糸が
その靄の正体なのではないかと思い始めたのです


a


20140814 1448




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by yasuharakenta | 2014-08-11 14:48 | 詩、歌詞