「変拍子の話」



 変拍子は生まれつき変と言われることに腹を立てていました。この憤りには慣れないようにしよう。いつか訂正してもらおう。ずっとそう思って生きてきました。その間彼は変だと言われ続けました。彼はいつも怒っていました。
 しかし皮肉なことに、時間の経過は彼にその言葉を馴染ませていきました。それどころか生まれたての他の変拍子が、過去の自分と同じように憤っているのを見てかわいいとさえ思うになってしまいました。その変化は成長と呼べるものなのか敗北と呼ぶべきものなのか、彼にはとうとうわかりませんでした。
 彼に唯一わかったこと。それは怒りがあまりにも膨大なエネルギーを消耗していたという事実でした。怒りに支配されない世界は想像していたよりずっと穏やかでした。彼は変という言葉で彼自身の本当のところを決定は出来ないのだと、もう知ってしまいました。ならばこの大通りの横でさえ昼寝をしてみよう。彼はそう思ったのです。



20150425 2359





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by yasuharakenta | 2015-02-25 23:59 | 詩、歌詞