「6.26」


どうしても本屋に行きたい衝動に駆られて
近くのショッピングセンター内にある本屋へ車で向かった
閉店まであと一時間もないが
だらだらするよりはかえっていいかもしれない

以前他の本屋で見かけた本が急に気になって
そのあたりのコーナーを探すが特に見当たらず
代わりにテレビで芸人が紹介していた
傑作らしい小説を見つけた

新刊コーナーには好きな作家の文庫がいくつかあり
また最近気になり始めていた作家の最も読みたかった小説も文庫化されていて
あたりを行ったり来たりしながら
やはり何度も視界に入るのだった

ところで先ほどから店員の私語が気になる
男性同士でこの間読んだ本なのか見た映画なのかの話をしている
BGMのない店内に声がやたらと反響する
横の女性店員は知らない顔をしてる

他の客がレジに行くと
さらに他の男性店員が対応をしたので
男性たちの私語は終わらない
おいレジ打ち、君、店長か何かだろ

これが小説の内容だとしたら
本好きにはたまったもんじゃない
私はそれほどの本読みではないが
それをイメージする力ならある

聞かないように聞かないようにするとそれはノイズになり
じゃあいっそ耳をすませると何らかのネタバレになる
しかし一番はこの男(メインで話す方)に話術がまるでないこと
本から何を学んできたんだ

気づけば私の心に数千の針のようなものが生えてきている
遠ざかってもノイズは私を追ってくる
本の背表紙にあるタイトルが
文字ではなくなっていくようだった

ふう。いいさこの本屋には
しばらく来なければいいだけのこと
私は購買意欲を意識的に下げ
駐車料金が無料になる分だけの買い物をした




[PR]
by yasuharakenta | 2015-06-26 22:34 | 詩、歌詞