「3.27」


この地下鉄は地上に出るやつなんだ
本を読みながら少し視線をずらした
ちょうど乗ってきたお母さんと男の子
カラフルなリュックを背負ってる
男の子はそわそわしてる
手をのばしてくつのテープを外すと
あとは足だけでくつを脱いで
振り向いて窓枠に手をかけた
お母さんが不格好なくつを並べ直した

次の駅では赤ちゃんを抱いたママが多く乗ってきた
ママ・フェスタとかあったのかもしれない
左隣に空いた一席にも抱っこ紐のママ
赤ちゃんがこっち見てる気がする
また少し視線をずらして小さい目をちょっと大きくする
家族ができればこういうときの会話もあるのかな
やりすぎてママに気づかれても笑うしかできない
だから内緒で送るアイ・コンタクト
赤ちゃんもうこっち向いてないけど

高速で動く景色にも横で何かしてる人にも
興味を持つのは当然だと言われてる訳じゃないけど
だけど確かにそうだよなと少し考える
本がないときは向かいの窓を人越しに見るけど
子供は近い方の窓で大きな景色が動くのを見てる
そういうのはしない方がいいって言われた訳じゃないけど
空気を読んだら「そういうの」じゃなくなった
あの男の子が大きくなってもくつを脱いで外を眺めてたら
野生の動物を見たように距離を取ってしまうかもしれない


20160613 2129




[PR]
by yasuharakenta | 2016-03-27 21:29 | 詩、歌詞