「4.1」


いっつも嘘ばっかついてと怒られている少年は
この日はそのままでいていい気がしてうれしいきもちでした
冷蔵庫の裏にゴキブリが出たよとか
昨日先生がもう学校来なくていいって言ったとか
本当じゃないと思うけど本当だと困る嘘ばかりついていたからです

というわけで今日のとっておきの嘘は
うんこが流れなくて手でつかんで捨てたかな、と少年。
「もー!ちゃんと手を洗って!」って言われるんだろうな
そう思ったら少年は笑けてきちゃいました
笑いすぎてなんだかつまらなくなりました

反応が予想できる嘘ではあまりおもしろくありません
普段の自分と同じ嘘ではそんなにおもしろくありません
困らせたり笑ったりしたかった少年は
嘘がつきたいんじゃないんだと初めて知りました
そして何をしたらおもしろいかを考えました

「ねえお母さん」
「今度はなーに」
「いつもご飯とかありがとう」
「・・なに?」
「嘘だよー」

少年は部屋に戻ってからちょっと笑いましたが
恥ずかしくて耳まで熱くなったのは初めてのことでした
お母さんは台所でヒクヒクと泣いていました
少年は自分の嘘を「嘘だ」と言ったことがなかったので
それが本当の言葉だとすぐに分かったからでした


20160618 2101




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by yasuharakenta | 2016-04-01 21:01 | 詩、歌詞