「カップルシー」


焼けるように熱い砂浜の上では
ぼくらははしゃがずにはいられなかった
「待って!」というきみの言葉を
「早く!」とぼくははぐらかした

「音もとちゅうでなくなっちゃうけど
 匂いもおなじでなくなっちゃうんだね」
海の匂いをかいだあとできみは
秘密を言うみたいに丁寧に言った

きみの乗るうきわをつかんで
ただ波に揺られながら
ときどき雲をながめたり
死角をつくってキスをした

結局ぼくらふたりきり
他人の声を普通に無視して
まるでぼくらだけのような
ばかもあほもない世界だ

同時に同じ歌をうたって
同時に目をまんまるくして
お互いの顔を指差して笑った
忘れないなって確信した

焼きそばとサイダーを
わざわざ一緒に買いに行った
おいしくてもおいしくなくても
ぼくらはもう大丈夫だった

太陽とぼくらには
体力の限界があって
あとひと泳ぎしたらねって
嘘をつくみたいに言った

結局永遠もおわっていく
カウントダウンが聞こえるようだ
誰かがぼくらだけの世界を
介入して壊していく

だけどきみは歌をうたって
ときどき空を見上げて
こっそり死角をつくって
ぼくにやさしくキスをした

「夜ご飯なにたべようか」というきみの言葉を
「くいしんぼうだなあ」とぼくははぐらかした


20160826 2358




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by yasuharakenta | 2016-05-19 23:58 | 詩、歌詞