「虹行きバス」


「見て」とバスの中で母親が子供に言った
「わあ!」と子供が破裂音のような声をあげた
私もちらりとバスの前方を見ると
まるで遊園地の入場ゲートのように
バスの大きな窓の先に虹が架かっていた
「あれ虹?」と子供は尋ねて
「あれが虹だよ」と母親が教えてあげていた
バスには座席の半分くらいの人が乗っていて
おそらくその全員が窓の方を見ていたと思う
「このバスは虹行きのバスなんだね」と私は思いついた
だけど話しかけることはできなくてもどかしかった
「なんで虹ってできるの?」と子供は尋ねて
「うーんさっき通り雨がきたからかな」と母親が答えた
「通り雨って?」「通り雨っていうのは、ちょっとだけザーって降る雨のこと」
「そのままどっかいっちゃうの?」「そうだよ」
「じゃあさ通り雨を追いかけてったらずっと雨?」子供がそう聞くと
「えー!?」と母親が言ったのが最高だった
まるで大人に問題を出された子供のようだった
「まだまだ虹に着かないね」と子供が言うと
「でも次止まったらボタン押してね」と母親は言った
その後で子供が「知ってるよ!」と答えたのが
私にはなんとも頼もしく思えた


20160903 2329




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by yasuharakenta | 2016-05-30 23:29 | 詩、歌詞