「一方通行の複数形」


小1のときに引っ越した友達をときどき思い出すように
彼もときどき僕のことを思い出しているかもしれない
鳴らなかった君のおばあちゃんちのインターフォン
ひとりで押したら人が出てきて焦って逃げたよ

もう連絡を取らなくなった高校のときの親友
彼女はとっくに僕のことは忘れてしまったかもしれない
君と作った発表の数人のちょっとしたイザコザ
今となっては僕が悪いと思っているんだ

小さな苛々が重なって疎遠になった母親だって
僕の小さい頃の写真をときどき眺めているかもしれない
怒りは記憶から消えてしまうからもう覚えていない
何を許せばいいのかさえ覚えてないんだ

苦しかったときに通った本屋で笑ってくれた店員さん
彼女は僕のことはおろかバイト仲間の名前すら覚えていないかもしれない
君がどんな本を買ってもいつも笑顔で接してくれたこと
僕は本ではなく君に救われていたんだと思う


20170308 2321




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by yasuharakenta | 2016-09-26 23:21 | 詩、歌詞