「私は普通になった」


私はガラスの中にいたの
分厚い、水族館のみたいなのの中に
たぶん私がそうしたんだと思う
あんまりうまくいかなかったから

いつも目眩の中みたいで
誰の顔もはっきりとわからなかった
言葉もよく聞こえないしあっちもそうだったと思う
伝わらないとわかれば寂しくなかった

ある夜、頭上の吹き抜けの先の
紫色の夜空にまあるい月が見えた
ひとりじめしたくなかった

「昨日の月見た?」
次の日とつぜん話しかけられた
その声はその日からずっと鮮明だった
それが君だったんだよ

温かい君の声で私のガラスは
氷のように少しずつ溶けていった
目を瞑る私に君は言ったの
「そんなに怖くないよ」

今考えてもあれは明らかだった
明らかな初恋だった
だけど映画や漫画とは違うよ
私にとっての運命は君にとっての日常だ
運命じゃない

私はガラスの中にいたの
分厚い、水族館のみたいなのの中に
だけど君がなくしてくれたんだ
一瞬魂が呼応したんだよね

予想通り君とは恋をしなかった
だけど私の日常は君のぐらい鮮明だ
友達だってできたよ
普段は忘れていて
時々思い出して泣いてしまうの

ある夜、頭上の吹き抜けの先の
紫色の夜空にまあるい月が見えた
あれは私の運命の月


20170620 2217




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by yasuharakenta | 2017-03-22 22:17 | 詩、歌詞