フロート完全解説


フロート完全解説



https://www.youtube.com/watch?v=mFETqonOGes


フロート(float)というのは「浮遊する」とか「たゆたう」とか、とにかくふわふわと、ふらふらとしている、という意味です。
コーヒーフロートは、コーヒーの上にアイスがふわふわと浮いているよね。

主人公は、原っぱというか、草原というか、そんなところでひとり仰向けになって寝ています。
何にもないところではなくて、寝ている頭の先には2階式の駅があります。線路はスーッと真っすぐ伸びています。
だけどそれしかありません。人の気配もしません。電車も、時々しか来ません。

時刻は朝の10時くらい。
つまり主人公は、なんらかの休憩中です。
学校をお休みしてるのかもしれないし、お仕事を休職してるのかもしれないし、単に休憩してるのかもしれません。

おそらく、主人公には悲しいことがあったと予想されます。
落ちこんで、言っても何も変わらなくて、悔しくて。
ただ、そういう悔しさの最中の心の傷がグジュグジュした状態ではなくて、それから少し経った状態です。
悔しさは消えてったけど、悲しいなあという気持ちがまだ残ってるかなくらいの、そんな状態。

色んな葛藤が主人公にはありました。休憩も、簡単に決めたことではありませんでした。
助走をつけて休憩をしたんです。
様々なめんどくさいこと、しがらみ、環境に束縛されていたんだと知って、それを振りほどくように。
そこで歌うのが次の歌詞です。

 纏うのは はずしていい

まとっているいろんなこと。
そういうのは、外して大丈夫なんだよと、自分に言っています。

 濁す言葉も なくそう

汚い言葉を浴びて、自分からも汚い言葉が生まれそうになることがありました。
だけど、自分の心を濁すそういった言葉はもう捨ててしまおうと、また自分に言っています。

見ている空は、水色と白の風景です。
雲が、いくつものかたまりになって、ゆったりと流れていきます。

 人のない 雲のパレード

自分以外、人気(ひとけ)はありません。
このパレードを見ているのは自分だけ。

 見当たるものが ひとつもないけど

雲のひとつひとつのどこにも、自分が探しているものはありません。
辺りにも、どこにもありません。
そもそも自分は何かを探しているんだろう。
そうふと考えたりもします。

だけど、何もなくても。

 いま なんか しあわせ

主人公は、濁す言葉を捨てて、圧倒的な肯定力を持った言葉で、今の気持ちを表します。
いま、なんか、しあわせ。
何か見つかったわけでもありません。
だけど、いま、なんか、しあわせ。
それ以上でも、それ以下でもありません。

 とまるな

とまるな。とまるな。

そしてピアノの間奏が入った後で歌われる歌詞がこれです。

 永遠の 続きはない

永遠に続くことなんてないんだ。
しあわせ、とまるなって言ったけど、きっと止まる。
だけど悲しいことも続かない。
自分の悲しみは、永遠じゃないんだ。
この状態は、もう続かない。

 わかる そろそろ 飛ぶのだ

わかってるよ。
もうそろそろ、動き出すときだよね。
だから飛べるではないんです。飛ぶんです。



フロートは、雲のパレードの中で一番好きな曲かもしれません。
全曲好きだけど、詩やアレンジが上手くいったとかそういった要素をなくして、シンプルに曲として一番美しい。
作曲は鍵盤を使って行ったので、メロディはとてもきれいなんだけど、その分歌うのがとても難しい曲になりました。
曲にはキーといって、その曲の高さと、実は雰囲気まで決める土台要素があります。
カラオケで上げたり下げたりできるあれです。
フロートのキーはF。それまではFのキーは単純すぎる気がして作れなかったのに、この曲から使えるようになりました。

きれいで、言葉数の少ないメロディに詩をつける作業は苦労しました。
この頃はスマートフォンだけ持って朝散歩に出かけて、思いついたらメモをするみたいなことをやっていました。
(人のアイディアは散歩時とシャワー時に出やすいそうです)
一番難しかったのがサビ終わりの4文字です。
それ以外はできているのに、その4文字だけずっとできませんでした。
夜中に散歩して、帰ろうとしたときに見た「とまれ」の標識を見て決まりました。

その4文字の直後にピアノだけになります。
ここはイメージがあるだけで、まったく音で表わせませんでした(僕は即興演奏ができません)。
だからピアノを適当に弾いて、それを何度も録画して、近そうな雰囲気のものをコツコツ整えていきました。
ちょっと専門的な話だけど、ピアノの最後のコードが偶然Cになって、そのままFのコードに戻れたとき、たまらなくうれしかったです。

ここからは録音のはなし。
右から聞こえるギターがふわふわしてるでしょ。
エレキギターのエフェクター(足元にあって、踏むと音を変えられる装置)には全然詳しくないけど、フロートに合った音にするために試行錯誤しました。
あと目立つのは木琴かな。これが一番大変だったかもしれません。
速すぎてもだめ遅すぎてもだめで、ちょうどいいテンポ感になるまで、数百回やり直しました。
できたと思ってもあとで聞くと速く感じたり、木琴の鳴る2箇所で全然速さが違ったり。
マリンバ奏者の知り合いがいればいいのになんて(愚痴のように)思いながら録っていました。

ボーカルはダブルトラック。
ダブルトラックは同じメロディを2回歌って同時に鳴らす手法です。
ビートルズの多くの曲やMr.Childrenのイノセントワールドで使われていて、同じ人が歌っているのに微妙なズレが起こることでちょっと不思議な声になります。
でもダブルっぽさがあんまりでないようにうっすらと。よく聞くと2つ聞こえるはずです。

間奏で演奏に加わったピアノが、後半一緒に演奏してくれて、その音の混ざりの感じが泣けるんですよね。
実際録音してたときに泣きそうになったくらい。
フロートってひとりしかいない物語、全楽器がユニゾンをしている世界に、なんか強い味方が、なぜか自分の内側から現れてくれたような、そういう気がしたんですよね。

(フロート解説・完)


追記
フロートになる前の歌詞「おしゃべり」がどっちもいいよにあることを忘れてました。
フロートのメロディで歌えます。


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