spring完全解説


spring完全解説


雲のパレード3曲目、8分18秒から始まります。


springは恋人同士の歌です。
2人は近所を歩いているところ。
女の子はちょっとへんてこりんで、男の子はちょっとまじめです。

 もうすぐ春だねって
 まだ8月だよって
 気が早いなぁって
 笑ったりして

女の子が景色を見ながら、突然「もうすぐ春だね!」と言います。
でもまだ8月。夏の最中です。
男の子は普通に笑ってあしらいます。気が早いなぁって。

 わからなくなるって
 なんのことって
 よくわかんないって
 泣いたりして

そんなふうに笑い合ってたのに、
女の子がまた突然「わからなくなるの・・」と言います。
男の子はわけがわかりません。
「え? なんのこと?」
だけど女の子の目から涙がぼろぼろと出てきます。
男の子は言葉を使うのをやめて、歩幅を合わせることにします。

 自分の不器用さなんて
 どうにかしちゃうよ
 あなたのためなら

へんてこりんな君とは、もしかしたら見てる世界が違うかもしれない。
そんな君に合う言葉を見つけてあげることもできない。

だけどそれを言い訳に何かをしないとか離れるとかじゃない。
何かができないからって落ちこんでる場合じゃない。
落ちこんでるのは君なんだから。
君が僕を必要としてくれる部分があるなら、それで向き合っていよう。
君といたいんだから。

 今こんな気持ちって
 どうして分かるのって
 そりゃあ分かるよって
 笑われたりして

すっかり気持ちの戻った女の子が、景色の上の方を見てぼーっとする男の子を見ていいます。
「今こういう気持ちでしょ!」
誰にも言ったことのないような心をさらっと当てられてただただ驚く男の子。
「わかるにきまってるよ」ってさらに笑われます。
それでさらに好きになる。この人すごい人だなって圧倒されています。

 桜は咲くかなって
 もう5月だよって
 うんそうだけどさって
 悲しんだりして

出たまた季節違いシリーズ!
だけど男の子はまた、つい説明してしまいます。「もう5月だよ?」
女の子が必要としてるのは正解じゃなくて、そう思った心でいいよって共感してもらうこと。
またひとりぼっちになってしまう気がして、泣くまではいかないけど、やっぱり悲しくなります。
女の子は、自分がへんてこりんなことと、へんてこりんって寂しいってことに、気づき始めています。

男の子は慌てます。あーあーあー!そういうこと言わないでよかったんだった。
納得ができなくても、答えを出したり否定をしたりする必要なんてなかった。
ただ「そう思うの?」って言ってあげればよかった。

 自分の器用さなんて
 いくらでもすてるよ
 あなたのためなら

検索で簡単に出るような回答は、もうしないようにしよう。
確かに生活は僕のほうが上手にできる。彼女は生きるのがちょっと苦手だ。
だけどそれでも僕は彼女が好きで、必要で。
だって君以外で「今こんな気持ちでしょ」って当てられる人なんていなかったんだから。

生きるのが苦手というのは、その人がわるいというわけじゃない。
生きるのが上手というのは、別にえらいとかそういうことじゃない。
君の世界をじゃませず、そのままでも楽しく生きてもらえるように、僕はしたいな。
いちばん近くで、この世界とあの世界の緩衝材に、僕はなろうかな。



springは詩先(しせん:詩を先に作ること)の歌です。
書いたときのことを覚えています。
布団に入って、あと5秒で寝ちゃいそうなときに思いつきました。
そのまま携帯で打ってすぐ寝ました。
すでに1500篇書いてきたどっちもいいよの、かなり初期のほうの詩です。
そのすぐ後に「散歩の話」という初の連作詩を書くのですが、たぶん同じふたりです。

作曲方法を再生という曲から変えました。
それまではギターで作っていましたが、どうしても手癖で弾いてしまうんですよね。
手癖のパターン自体も多くないし即興演奏もできないので、似た曲似たコードからの壁を破れずにいました。

再生という曲はイメージがある程度はっきりとありました。
だけどギターじゃ全く弾けなかった。
だから仕方なくピアノで1音1音和音を作っていったんです。本当に1音1音探しました。
作曲時間は相当伸びたし、知らないコードとコード進行ばかりになりました。
だけど、初めてほぼ完全に自分のイメージを表せた感覚があったんです。うれしかったですねー。
相当な手応えを感じて、次に作曲したこのspringからその方法を正式採用しました。
springは元々は手癖で作った曲だったのに、ちゃんと自分の曲になりました。
雲のパレードの他の曲ももちろん全部そのやり方で、全部知らないコードとコード進行がでてきています。

冒頭から出てくるあーあーあーっていうコーラスはだいぶ後半で思いついたものです。
だけど、もはやないと不自然に感じるほど自分の中で当たり前になりました。

サビのコーラスワークは何度もやり直しをしました。
「自分の」って一緒に歌うハモリだったり、小節の頭からあーって歌うコーラスだったり。
このパターンは結構最初にボツにしかけたものでしたが、拾い直して正式採用してあげました。

ドラムは、逃走やグッドバイの一定のリズムとは違って自分でリアルタイムで打ち込んでいます。
鍵盤でドラムをやるって言って伝わ・・らないかもしれないけど、そんなことをしています。
アコースティックギターは本当は使いたくありませんでしたが、必要なので使いました。
ちなみにベースラインには、どの曲も自信があります。
適当に弾くと単純になりすぎるので、どういうふうに弾くかの設計図を作ってから録音しているから。
本当はね、一発で理想の演奏ができるのがいいんだけど。

イントロはたった3拍のへんてこなものです。
イントロが長いとデモを聞いてもらったときに待たせてしまうので(そしてもういいやと思われてしまう)、そういうイントロにしたんです。
他の曲ではもうあんまり気にしてないけどね。
2番の始まりで聞こえる高音は、なんとなく雪をイメージしています。

雲のパレードはフロート、spring、ちょっとあいて逃走、またちょっとあいてグッドバイという順に完成しました。
最後4曲の音量を合わせたりする作業のときに、springがどうしても気になってYouTubeに上げる直前にミックスをし直しています。
せっかく終わりが見えたのにまたやり直し・・ってもう吐きそうだったけど、結果的にはやってよかったんじゃないかなと。

主人公の女の子はへんてこでちょっと泣いてるけど、ファニーなせいで、
雲のパレードの中ではいちばん穏やかにきける、散歩に合う曲になりました。
作詞作曲時の気合いの入り方は正直他の曲のほうが上です(詩はほぼ寝て書いたものだし)。
だけど力の抜けてる感じがいいんだし、この曲を好きって言ってくれる人もいて、やっぱりこの4曲に入れてよかったなって思います。

(spring解説・完)




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