グッドバイ完全解説


グッドバイ完全解説


雲のパレード最終曲、11分18秒から始まります。


グッドバイの舞台は、空港での見送りです。
遠くにいく友人を送ります。長い期間のお別れです。

一緒に長距離の電車に乗って空港まで向かいます。
空港までもこんなに長い道のりなのに、今からそれ以上離れてしまいます。

 遠い道のりを知ってるから
 距離は無関係と言いたくなる

 ずっと一緒にいられないから
 ずっと一緒だって思いたくなる

どこにいても変わらないよね。
遠いところでもずっと一緒だからね。

口にするこれらの言葉にはどうしても虚しさが伴います。
だって、そう思ってないから口にするんだから。
距離は結構大事だし、遅かれ早かれ一緒にはいられなくなるのは事実です。
でも信じていたい。ずっと続くんだよって信じたい。
だから言いたくなるし、思いたくなる。
でもこの主人公は実際に、言ったんでしょうか。思ったんでしょうか。

 永遠はないと気づいてるけど
 永遠の手紙を書いてみたくなる

君の手元と心に、ずっと残る手紙があるなら、書いてみたい。
永遠はないって知ってしまったけど、永遠くらいの気持ちなんだよ。

長い道のりもいつの間にか最終地点。空港です。
手荷物検査を控え、搭乗ゲートに入る直前です。

今までの歌詞は全部主人公の心情でした。
だけどここで初めて、台詞になります。
言いたくなって、思いたくなって、書いてみたくなって。
ぐるぐると考えた結果、絞り出したのは、変な言葉でした。

 朝と夜は孤独じゃないんだよ

「そろそろいかなきゃね」
「うん」
「あのね・・朝と夜は孤独じゃないんだよ」
「え?」
「だからね」

 寂しくないのさ

「だから、寂しくないんだよ」

朝と夜は、一生会うことはありません。
朝になれば夜はいないし、夜になれば朝はいません。
じゃあ朝も夜も孤独なのかな。ううんちがうよ。
朝がいるから夜がいて、夜がいるから朝がいるんだよ。
遠くにいっちゃって、場所も時間も全然ちがうけど、別に寂しくないんだよ。

と、強がって出た言葉が上の言葉でした。
相手はその言葉をなぜか「うん」と受けとめてくれます。
そしてとうとう、お見送りの言葉。

 じゃあこれでね 気をつけてね

気をつけてねと言われて、自分は気をつけたことないけど、どうして言いたくなるんだろう。
無事で、おたがい無事で、また必ず会いたいからかな。

 変わっていくと知っていても
 あなただと手を振りたくなる

そして搭乗ゲートに入っていく友人を見送ります。
環境が変われば、きっと変わっちゃうだろうな。
性格も、友達も、大切にしているものも。
だからもしかしたら、これが最後かもしれないね。

だけど君を、応援しないわけがなくて。
この手を振りたくなるは、本当に振っています。
いってらっしゃい。いってらっしゃい。

後奏の間、何度も手を振ります。
ぽつんと取り残されて、笑顔でいるけど、感情は高まっていきます。
いやだな。いってほしくないな。一緒にいたかったな。
涙は一応こらえます。じゃあね。じゃあね。
そして本当に見えなくなって、ためいきをひとつつきました。
「あーあ」



グッドバイも詩先(しせん:詩を先に作ること)、というかただの詩でした。
「朝と夜は」から「気をつけてね」までがない、シンプルな詩です。
その詩につけた曲は、今の形とは全く違う、6/8拍子のロックっぽいものでした。
その形でライブで披露したことも何回かあります。
今回4曲入りのを作ろうと思ったときにはまだその形でした。

でもどうも単純なのが気になっていました。
6/8拍子を4拍子にしてみたり、譜割りを変えてみたり、色々したけどどれもずば抜けては良くならなくて。
いっそまるごと変えてしまったというわけです。

雲のパレードがなぜ4曲入りかというと、曲数を増やしたかったからなんです。
でも録音は(不慣れで)時間がかかるから、じゃあ弾き語り+α程度で公開しようと。
でもそうすると「静かな曲をうたうひと」っていうイメージが付いてしまうから、
4曲セットにすればコンセプトっぽく思ってもらえるだろうと始めた企画でした。
夜にスマートフォンを枕元で鳴らしっぱなしで眠るような、そういう感じにしようと。
結局弾き語り+αでは全然なくなってしまったんだけどね。

グッドバイも一から作り始めるのはだいぶ迷いましたが、どうしても前の状態では出せなかった。
しかも相当難しい曲になってしまって、何度も途方に暮れました。

 遠い道のりを知ってるから
 距離は無関係と言いたくなる

 ずっと一緒にいられないから
 ずっと一緒だって思いたくなる

 永遠はないと気づいてるけど
 永遠の手紙を書いてみたくなる

 変わっていくと知っていても
 あなただと手を振りたくなる

今の形の原型ができてから、さらに譜割りを2倍にしています。
(コード進行が4拍ずつじゃなくて2拍ずつでした。)
全部一緒のフレーズで(要はぜんぶAメロで)作っていたのをやめて、永遠のところで展開させることにしました。
それと最後の連では転調したいなと。
だけど永遠の展開だけではどうしても短かった。
だからそこから続く大サビを作って、歌詞を付け加えて、転調して手を振るという流れになりました。
言葉で書くと短いけどね。僕にとってはとっても大変な作業でした。
(さらに後奏でもたぶん転調しています)

でもあの大サビは(めちゃくちゃ難しいけど)弾いててめちゃくちゃ楽しくて。
特にベースはめちゃくちゃ楽しいです。
仮歌で歌っていた最初の「あー」の音以外に合う音がなくて「朝」という言葉で詩を書きました。
曲としても詩としてもあの箇所がなければグッドバイはだいぶ違う印象になったはずです。

逃走が完成して、最後のグッドバイの作業に入ったところで舞台の稽古に入ったので、半分程度の作業を舞台後に行いました。
ピアノも録り直しました。弾けないので何度もね。
印象的なエレキギターの音に似たオルガン(右から聞こえます)もかなり後半で録音しています。
それから逆再生のギターを入れてみたかったんだけど、想像どおりにできなくて、結局今の形になりました。
分かりやすいのは永遠の前の2小節かな。結果的に満足しています。というかこれでよかった。
コーラスワークの確定も公開ギリギリです。グッドバイは要は超問題児だったんです。
だけど(なぜか特に音楽をやっている人ほど)グッドバイがいいねと言ってくれることが多くて、本当に安心しました。

後奏に入る瞬間に「あーあーあ」という叫びを入れていて、大好きだったんだけど最後の最後にカットしました。
その代わり急にいなくなった感がかなり出たはずです。寂しくなる感じ。
(実は超うっすらと聞こえます。)

小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」は自分の旅立ちの曲じゃなくて旅立つ人を送る曲です。
すごい視点だよなーと思ってたら、最近「グッドバイもそうだった」って気づいてアホですが結構驚きました。

後奏は、前奏と似ているのに違うコードです。
ギターを弾きながら録ったためいきに合わせて、他の楽器も最後の音を弾いています。

(グッドバイ解説・完)


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