「老夫婦と本(二)」
老夫婦の間にはいつも本があった
四百頁程の少し重そうな本だった
老夫婦の手が手だけで触れることはなかった
二人は時々本の上で手を合わせた
表紙はいつまでも変わらないのに
互いの手は少しずつ乾燥していた
老夫婦の間にはいつも本があった
老夫婦はもう車の運転をしなかった
けれどラジオを聴くために時々車に乗った
老夫婦は懸かるどんな音楽も好んだ
本という絶対があるから
後は何でも愛すことができた
老夫婦の間にはいつも本があった
老夫婦は時々セルフタイマーで写真を撮った
写真を撮るのに最適な場所をいつも時間を掛けて考えた
ちょうどいい場所が見つかると老夫婦は喜んだ
並んで写真屋に行くときが
とってもしあわせなんだと言った
四百頁程の少し重そうな本だった
老夫婦の手が手だけで触れることはなかった
二人は時々本の上で手を合わせた
表紙はいつまでも変わらないのに
互いの手は少しずつ乾燥していた
老夫婦の間にはいつも本があった
老夫婦はもう車の運転をしなかった
けれどラジオを聴くために時々車に乗った
老夫婦は懸かるどんな音楽も好んだ
本という絶対があるから
後は何でも愛すことができた
老夫婦の間にはいつも本があった
老夫婦は時々セルフタイマーで写真を撮った
写真を撮るのに最適な場所をいつも時間を掛けて考えた
ちょうどいい場所が見つかると老夫婦は喜んだ
並んで写真屋に行くときが
とってもしあわせなんだと言った
by yasuharakenta
| 2013-07-12 15:22
| 詩、歌詞