人気ブログランキング | 話題のタグを見る

制作秘話と解説 たわわなしあわせ





後述しますが、この曲は元々3日で構成から録音、パッケージング(CD作成)まで行った曲です。
時間があまりになかったので作詞は一瞬(毎日詩を書いててよかった)。

だから雲のパレードほど曲の背景はありません。
でも一瞬で書いたからこそ、普段から考えてることがそのまま出た気がしています。
テーマは結婚、というか、一緒に生きるということ。
解説行きますね。


ーーーーーー


 空の色変わってもずっとそばにいられるから
 満開の桜が全部散っても一緒だから


子供の頃からさよならが苦手で、ずっと遊んでいたいのにってよく思っていました。
夜になっても、全盛期が終わっても一緒にいれるね、一緒だよという嬉しさと決意表明です。


 悲しいことばが心に刺さっても
 うれしい未来でね コーティングしちゃうよ


幸せ!幸せ!という結婚ソングを僕は書けませんでした。

話は逸れますが、とある団体のある一人が何か事件を起こしたとき、即除名されることがよくありますよね。
僕はそのニュースを聞くたびに結構傷つきます。
(事件を肯定してるわけではありません)

一緒にやっていくって決めるってことは、何かあっても引き受けるだけの覚悟を持つってことなんじゃないかなって思っています。
むしろそういう覚悟がないからあぶれてしまったのでは、と思うことも少なくありません。
例えば今回も活動停止したタレントにテレビ局が損害賠償を求めるようですが、
そのタレントがいたことで得たメリットはなかったんでしょうか。
金を稼ぐっていうのはそういうこと、なのでしょうか。

適当に採用して、結果使えなかったバイトのシフトを入れなくするのも僕は好きじゃありません。
それならむしろ3日くらい時間をかけて、一緒に飯でも食いに行ってから採用を決めればいいんじゃないかなと思ったりもします。
一度一緒にやるって決めたんなら、覚悟しろよって思うんですよね。

結婚は当然(現状より)幸せになるためにするものですが、
何年も何十年も生きていればそりゃあ悲しい気持ちにだってなるはずです。
幸せ!幸せ!だけではいられないよね。

でもそれを言ったところで何になるの?
悲しみは確かに消せないけど「悲しいの。それは当然だね」って言ったところで。

うれしさに変えちゃうよだとおこがましいけど、コーティングくらいならできるかなと思ってこの歌詞になりました。
ここのPVでの振り付けも気に入っています。


 なんかしあわせ yeah yeah yeah yeah yeah
 はなうたが こぼれちゃうくらいに


たわわなしあわせの歌詞には、前作雲のパレードの1曲目フロートの世界観がなぜかちょっと入っています。
「なんかしあわせ」というのはフロートの印象的なサビの言葉ですね。
最近まで気づいていなかったほど、一瞬で作詞しました。

「なんか」というのはたぶん僕の好きな言葉です。
理由がうまくいえないというのは、たぶん一番芯に近い感情なんじゃないかな。
「安原くんの曲なんか好き」って言われたらたまらないです。
(呼び名は別にやっさんでもやすくんでもなんでもいいんだ。)

はなうた、という単語は漢字にすると相当強い言葉になります(鼻歌)。
鼻唄、ハナ詩、どうやっても声で出すやわらかい響きにはならない。
花歌、これはやりすぎです。


 ずっとふたり? それとも yeah yeah yeah yeah yeah


24くらいからかな。
特に女性に対して「子供は何人がいい?」と言えなくなりました。
本人がほしくないかもしれないというのもあるけど、
それ以上に、もしかしたら生めないからだかもしれないというのが大きいです。

結婚→出産が幸せの形だと、あまりにテンプレート化しすぎていて、
(生みたいのに)生めない人が必要以上に傷つく社会だと思っています。
僕も子供は好きだしいずれ欲しいけど、その考えが本能なのか社会の教育のためなのかはわかりません。

余談ですが、アンジェリーナ・ジョリーかな、が実子もいて養子もとってる話が好きです。
養子の子について「この子がいちばん私に似てるの」って言ったとか(どこで読んだかは忘れたので信用しないでください)。
離婚しちゃったけどね。

ずっとふたり?という歌詞には、そういう気持ちぜんぶ入れています。
ふたりでもいいし、子供ができてもいいし、養子を取ったり、親と暮らしたり、猫を飼うのもいいよね。
どうしよっか。yeah yeah yeah yeah yeah。

だからこの曲のPVでは、赤ちゃんを連れてくるほうは男の子にと決めていました。
ギターソロは女の子だと決めていました。
そういうメッセージを、この曲とPVには内在させたつもりです。


 未来はね 知れないのさ フューチャー!
 なのであなたといたいの


未来は知れない。
何が起こるか、何を思うか全くわからない。
検討のできない未知を歩いていくなら、あなたとがいいよ。

フューチャー!の箇所はもうこれ以外はまらなかったのでこの言葉になりました。


 永遠はたいてい偽物だった


フロートの世界観のもうひとつがここです。
永遠についての言及。
フロートでは「永遠の続きはない」と歌っています。

未来は知れないんだから、そりゃあ永遠は偽物ですよね。
永遠って価値のあるように言われるけど、偽物であるならその言葉自体の信用問題になります。

ただこの歌詞を書いてから気づいたんですが、結婚式って永遠を誓いますよね。
やべー。書き直しかなーって思いました。
思ってたら次の詩が出てきた。
ちょうど転調のシーンです。


 だけど心の中 永遠が光る


ここで結婚行進曲のアカペラが入ります。
これも後述しますがこの曲は実はここから作り始めました。

さて。
本編に戻って、転調して高くなったサビに戻ります。


 あなたがいるから yeah yeah yeah yeah yeah
 ぼくだって 力になるからね


ここはそのままの意味です。
ぼくだって力になるからねという言葉からは、力関係がいまいち読み取れないですよね。
相手がメインで力になってるのか、優しさからの言葉なのか。
そういうのでちょうどいいんです。上とか下とかないから。


 だって愛してるから yeah yeah yeah yeah yeah
 生きてると 変わってくけど


力になる理由は愛しているから。
だけどその直後に「生きてると変わってくけど」という、なんでそんなこと言うの!みたいな歌詞が。

変わっていくのは未来のところで説明済みです。
でも変わってっちゃったら、その「愛してるから」っていう理由はかなり危ういですよね。


 たわわなしあわせ yeah yeah yeah yeah yeah
 実らせようぜ 各々頑張って


だからこの詩です。
一緒にとか、協力とか大切だけど、仲悪くなったらそこまでです。
愛してる、その一点だけのパワーは、長く一緒にいれば(気持ちが薄れなくとも)どうしても弱まるでしょう。
そこでおしまいなら結婚する意味って?ってなってしまいます。

各々頑張って。
だからこの詩です。
今ある力(愛してる)だけでなんとかなることばかりじゃない。
だからそれぞれがそれぞれで頑張って、この実をたわわに実らせようぜ。

相手にばかり「こうしてくれ」とか「こうしてくれない」と強依存してしまっては難しいだろうと思います。
「俺は(私は)これをやってるのに」というのも。
やった分やってほしいとか、やってない分つけを払ってほしいとか、そういう目的だったんだっけ。結婚って。
この実をならすほうが、ずっと大切じゃなかったんだっけ。

仲悪くなるのなんか簡単なんですよ。
仲良くいるには力がいるんです。工夫と努力が必要なんです。
一瞬の許せないこと、怒り、そういうのを伝えたくなる衝動も分かる。
でも、その結果一生口を聞きたくない関係になったとしたら?

伝えたいのは、伝わると思ってるからです。
伝わると思ってるのは、関係性が深いと思ってるからです。
そんな相手と、将来的に思い出せないかもしれないくらい些細なきっかけで別れてもいいのかなあ。
家族でも恋人でも友達でも。よくそう考えます。

協力、なんて言葉が役立たなくなるときだってある。
工夫と努力が必要。仲良くいるには、各々頑張らないとね。


 もっと君が好きだよ yeah yeah yeah yeah yeah
 10年後 そう言うよ フューチャー!
 未来で待ち合わせしよう


未来はわからない。永遠もほぼ偽物。
そう言ってたのに最後にこう歌うのは逃げでしょうか。
それとも、各々頑張った結果、当然存在するものでしょうか。

僕は後者だと思って、この詩を書きました。


ーーーーーー


今回の詩には背景がないと言っときながらのこの分量。
やっぱり普段から大事に考えてたことが出たんじゃないかなと思います。

そしてみんな気になるこのPV。
超絶かわいかったでしょ!ずるいと何度も言われました。ふふふふ。

雲のパレードで静止画のPVにしたのにも理由はありますが、次からは動画の、いわゆるPVにしたいと考えてはいました。
そしたら歯磨きしながらサビのステップが突然浮かんで。
しかも、これこどもたちと踊ったら面白いのでは・・という下心とセットで。
出演してくれたこどもたちは知り合いのこどもです。
ここ1、2年で仲良くなったあのこどもたちと踊りたいなーって妄想していました。

ただ個人情報を出すのに抵抗のある世の中ですから、顔が出るのも親としては渋るかもしれません。
電話で聞いたらどの知り合いも即快諾してくれました。笑
快諾ってうれしいんだよねー。

さらに、このPVを録ったのは10月上旬、かつ知り合いの家は雪の降る街にあるので、
「もうちょっとしたら雪降り始めちゃうからすぐにでも来たほうがいい」って言ってくれて、
電話をしたその週末にはもう道具を持って向かっていました。

シーンは主に2つ。家と土手。
カット割りなんてできないだろうから、それぞれ長回しで。
かつブランコの前でちょこっと撮れたらと元々考えていました。

日程は土日のみ。
土曜は練習したのち家のシーンを撮って、日曜に土手とブランコで撮ればOKと思っていました。
思っていましたが、だめだった。笑
小学生の集中力を甘く見てました。何度もYouTuber(ドラゴンボールのカードをただ1枚ずつ見るだけの動画)に負けました。
知り合い(親)に怒ってもらったりしながら笑、土曜は練習のみ(しかも間に合わず)。

日曜の朝から迎えに行って、追加練習して、ぐずぐずいう中でなんとか撮って(踊るときは楽しそうに踊ってくれる)、
ラーメン食べて、土手のシーンを練習して。ね、かなりやばいでしょ?
だって土手のシーンは日が暮れたらおしまいです。ほんとに、ほんっとにぎりぎりだった!

でもそのおかげで、マジックアワーというのかな、すごくきれいな時間帯になりました。結果的にだけどね!
帰り道でブランコのシーン撮っておしまい(だからブランコのシーンは若干暗くなりかけてます)。
「今そこ違ったでしょ」と指示&チェックをしてくれたたかちゃんと、
「かわいいよ」ってテンションをキープさせてくれたとおるくんにはアシスタントとしてだいぶ助けられました。

俺のわがままに付き合ってくれたもはや主演のふたり、最高でした。
いつか、普通に遊ぶ週末より特別だったと思い出してもらえるといいな。
小学生の頃の記憶なんて忘れちゃうか。
さらに、ちょうど「ずっとふたり?」のシーンに合う、生まれたてのこどもにも出演してもらいました。
もう歩いてるかな。

さらに、本編とともにアウトテイク集も同時公開しました。
これが超絶かわいいので、何度でも見てください。
ラストのデモ音源は、音楽制作ソフトに残ってたラストシーンのデモが直前に見つかったのでいれました。


 たわわなアウトテイク


動画の編集は初めてで当然調べながら。ひーひー言ってました。
動画編集ソフトがかくかくしてもうだめかと思ったけど、なんとかなってる・・
というか上手じゃないですか!!
曲が完成してから2日で両方仕上げました。

曲も良くてPVも良くて。
どうしますか。

(以下は音楽作りの解説(というかドキュメンタリー)です。ボリュームがあるので読みたい人だけどうぞ。)


ーーーーーー


「じゃあお前もなんかやれよ。例えば曲作るとかさ。そうじゃないと」
「じゃあじゃあ曲つくる」
 反射的に即答した。自分には曲作りしかないと思ったわけじゃない。それしか選択できないと思ったからだった。
 4日後に昼の高速バスを予約していて完成までは3日間しかなかったが、


という出だしでボリュームのあるものが書けるほどの状況でした。
が、詳細を言うのはやめときますね。

一度聞いてもらえばこの曲が結婚をテーマにしてることはわかるはずです。
途中で露骨なパートもあるし。
状況ももちろんそういう状況でした。出席できない結婚式に、ということです。


さて制限時間3日でさっそく曲作りです。
曲作りにはいくつかのパターンがあります。
大きく分けると詞先(しせん)か曲先(きょくせん)(作詞と作曲のどちらからやるか)があります。
僕に関していえば、以前は詞先ばかりでしたが現在は曲先をメインでやっています。
(前作4曲入りの雲のパレードは半々です)

さらに曲先のやり方も様々です。
ギターで弾きながら作るか、ピアノで作るか、メロディから作るか。

ギタリストがギターで作ると手癖(てくせ:普段つい弾いてしまうコード進行)で作ってしまいがちです。
特に僕は、頭のイメージをギターで変換できるほどの技術がないので、弾けるギターのレベルを曲が超えることがありません。
なので僕は、再生という曲からはピアノで一音ずつすべて探しながら作るようになりました。

まず絶対使うであろう1音を決めます。その音に残りの11音全部あてて合う音を探します。その繰り返しです。
やっぱこの音いらなかったとやり直しになることも当然あります。
そうやって決まったコードから、また次のコードを1音目から探します。
(これはめちゃくちゃしんどい作業です。でもその分名前のしらないコードにもたくさん出会いました)

ただ今回は状況がちがいます。
3日という期限を考えれば手癖でつくってしまうのが一番手っ取り早いはずでした。
別に手癖=だめな曲というわけではないのですから。

だけど僕がこの曲の作曲時にまず何を考えたかというと
「ララーラーララーラーラーラ(結婚行進曲)って入れよー」でした。

その結婚行進曲に合う楽しいリズムを考えて、そのリズムを流しながら作ったんです。
リズム先(せん)。
既存の結婚行進曲のパートにギターの手癖で繋ぐのも至難の業です。
ということで必然的に、ピアノで1音ずつ探すいつもの時間のかかる手法を選ばざるをえませんでした。
時間がないのにもかかわらず。

ずんちゃ・ずっずちゃ、というリズムを流しながら最初にできたのがサビのあのメロディ。
すでにyeah yeah言ってました(他の歌詞もだいたいyeah yeahでした)。
そのあと大好きなBメロ、Aメロと完成しました。
もちろんメロディだけでなくコード(和音)を取らなければなりません。
案の定知らないコードとコード進行の連続で、すでに史上最難の曲になっていました。
すでに1日半は経っていたと思います。

それが終わると結婚行進曲のコード取り。
YouTube上にある楽譜を参考に(時間がなかったので)和音を取っていきました。
コードを取って、ギターで弾いて、結婚行進曲の和音ってこんなにかっこよかったのかと驚きました。痺れるほどかっこいい。
曲中ではコーラスのみのパートだけど、ライブでやるときには弾きますね。

さてここで問題が生じます。
その時点で作っていたたわわなしあわせのキー(カラオケのときに上げ下げするやつです)はC、結婚行進曲もC。
本来はなんの問題もなく繋ぐことができます。

だけど僕は、結婚行進曲を自分の一番いい声で歌いたかったんですよね。
「やすぴは高い声がいいと思う」と何度か言われたのも大きな理由です。
それまでは自分の高い声に自信がなかったけど、もう積極的に高い声を使うことに決めていました。

調べたら自分に一番あっていたキーはF。
ピアノでいうと、Cから鍵盤5つ分上です。
転調(キーを変えること)は普通鍵盤1つか2つ分。
グッドバイで3つ分の転調をしましたが、5つ分の転調はおそらくかなり異常です。

でもやる。
時間がない中で、リズム先にしたり大胆な転調を入れるという決断は相当危ういものです。
でもそれは結果論であって、このときの僕には出てきたアイディアを捨てる時間がなかったということです。
現在の構成みたいなものを3日で作ってと言われたらまあ断るでしょう。

しかしこの転調がめちゃくちゃ上手くいきます。
PVでいうとちょうど外に行く瞬間。タンバリンがなるところ。
たった1小節、2つのコードで鍵盤5つ上の世界に行くことに成功しました。
あいつのケツはデスヒップのラップパート、再生、グッドバイの転調ときて、この転調ができたことで、
1小節、もしくは2拍あればもうどこへでもいけるなと思えました。

この結果、元のたわわなしあわせも鍵盤5つ分キーが上がりました。
元々の難しいコード進行を別の指で弾かなければならなくなったのはもちろん、歌うのも非常に大変になりました。
でももう引き返せない。すでに2日半が経っています。でもこれで最後まで構成が完成しました。

このコードを取る作業の中で、不思議なことがいくつか起こりました。
結婚行進曲に入る前のパートで初めて使ったコードが、結婚行進曲の中でいくつか登場したことです。
キーを自分の声に合わせてFにした結婚行進曲にです。
さらに転調後のサビの中に、転調前のパートでこれも初めて使ったコードが登場しています。
なんでこんなやり方を選んだんだと何度も思っていましたが、このとき初めて、運命的だったのかもと思ったんです。


さあもう3日目の昼。かなりやばいです。明日の昼には高速バスで遠出です。
詞ができてないけど、音の出るアコースティックギターを(夜になると録れなくなるので)先に録ることにします。
もちろん問題が。コードが難しすぎるんです。
時間がないから端から一発で録音することを諦めました。
録音機器にはパンチインと言って一部だけを録ったり録り直したりする機能があるので、もうパンチインパンチイン。
だってむずかしいんだもん!完成が先と、ひたすらパンチインをしました。
(それでも2、3時間はかかりました)

次はベース(その前に作詞だったかな)。
ベースという楽器は、コードの一番下の音だけをひたすら鳴らしていてもなんとかなります。
時間がないならそうすべきです。
だけどそうはしなかった。しっかり設計図を作って、そのとおりに弾きました。
たぶんだけど、特にデモの段階ではメイン楽器がアコースティックギターとベースと打ち込みのドラムだけというのもあって、
ベースの重要度が高いと気づいていたんだと思います。
というより、自信があるから手を抜きたくなかったのかもしれません。
だからベースライン、がんばってますよー。よーく聴いてみてください。おかげでその後録り直しもしませんでした。

その後サビで鳴らすエレキギターとギターソロを録りました。すでに深夜3時あたり。
僕はエレキギターのエフェクター(音をひずませたり変えたりする機器)にあまり詳しくないので、
本来は音作りにすごく時間がかかるタイプです。でも今回はそんなこと言ってらんないです。
早く決めるぞ!とだけ決めて音作りをしました(たいしてやり方は変えませんでした。笑)
そうして作った音は、なんでかわからないけど、とっても好きな音です。
この2つの楽器ももちろん録り直しをしませんでした。

さてそんなこんなですでに5時。やばくないですか。
だって結婚行進曲のコーラス録ってない、どころか、どういうパートで歌うかも考えてません。
いっそいで(でもなぜか丁寧に)考えて、そのあとの伸ばしのパパパコーラスまで考えて録りました。
すでに徹夜でしたが、いったん寝てしまうと喉が戻ってしまうので、もう寝る選択肢はありませんでした。
だって昼まであと少し!!!

高音がきついメインボーカルも一緒に録って(よく喉が持ったと思います)、使うテイクを選んで、
いっそいで音量調整してCDにして支度してギリギリ。13時に外に出ました。

その完成した、タイトルもさっき出来たばかりのたわわなしあわせを
4時間の高速バスの中で、ずっと、ずっと聴いていました。
楽しくて仕方なかった。自分の曲を完成直後にこんなに聞く経験はそれまでありませんでした。
だから徹夜明けなのにあんまり寝れなかったんだよね。


ーーーーーー


その好きなたわわなしあわせを本格的に仕上げることにしました。
まずしたいなと思ったことは、生ドラムの録音です。

前作雲のパレードでは自分ひとりで作ることがテーマのひとつでもあったのですが、もうそういうのはおしまい。
ドラマー兼幼馴染みのつなかわ和行くんにお願いして、一緒にスタジオに入って練習して、吉祥寺のノアで録音しました。
セッティング、制限時間ふくめほんと緊張したー。だけど、お聞きいただければ分かる通り、素敵なドラムをもらいました。

この曲で一番苦労したのはボーカルの録り直しです。
3日で録ったものはとにかく完成が優先だったけど、いざちゃんと歌うと難しくて、しかも声もすぐ枯れました。
別の日に歌うと声質が変わってたりするからまたまるごと録り直したり。
ここで一番時間を使ったと思います。

実は転調前と後でメロディが微妙に違うの気付いてましたか。
なんかしあわせ yeah yeah yeah yeah yeahのyeahのところは「ミレドラソ」なのですが、
転調後は「ミレシラソ(正確にはラソミレド)」になっています。
このことは僕も公開直前に気付きました。めっちゃくちゃ驚きました。
直そうかと検討したけど、直すと違和感があるのでそのままにしました。
不思議だなー。なんでだろうなー。

新しく録り直した楽器で一番印象的だったのは、サビで右から聞こえるジャッジャっと刻むエレキギターです。
ちょうどこの頃ビートルズのアンソロジーを聴いて大好きだったギターと似ていて、とても楽しかったな。
「なのであなたといたいの」のところでこのギターだけになりますよね。
実はデモではここはドラムのみだったんです。
それを完全に忘れてドラムの録音をしてしまったので、新たなアイディアとしてこのギターを入れました。
もちろん手癖では弾けないので、どういうふうに弾いたらいいか全部調べて、書き出して弾きました。
音がとってもいいです。

編集作業もめちゃくちゃたいへんだったけど、その話はさすがにコアすぎるのですぐやめますね。
早くこれ専門の人にやってもらいたいといつも思います。ひーひー調べながらなんとか完成させました。

音楽の作業を簡単に分けると①作曲②録音③調整があります。
①は頭を使って、②は体力を使うけど、③はそうでもない感じしますよね。
ところがこれがめちゃくちゃ疲れるんです。神経を使う。
0.1db単位で音量を整えて、何度も聞き直して、何度も直します。
なんでこんなに疲れるのかと考えてたら、この作業は指揮者と同じ役割なんですね。
指揮者と同じかと思ったらなんとか理解できて、必死に完成させました。

結構うまくいっているようで安心しました。


(たわわなしあわせ・解説完)